医局に入るメリット・デメリットを考えて働き方を考えよう

医局のメリット

この記事では医局に入るメリット・デメリットを紹介しています。

「今後医局に入るか迷っている」「医局に入るとメリットはあるの?」
最近は、医局に入る人も減っていると聞きますよね。
実際、医局に入ったらどうなるの?という疑問についてお答えします。

医局について紹介します

医局について知らずに入局すると後に後悔することも。

この記事でメリットデメリットをしっかり把握できますよ。

この記事に書いてあること
  • 医局のメリット
  • 医局のデメリット
  • いつ入るか
  • 現状を調査
  • 医局を選ぶ方法
医局に入るとき
一度チェックを!

私は医局に少し遅めに入局しました。
どうせなら早く入局すればよかったと考えています。

出産・育休を経たことで、医局のメリットを感じています。

目次

医局とは

医局とは「人事権を持つ親会社」と考えてください。

教授が「社長」、関連病院が「子会社」です。

医局の構造

医局の多くは大学ごとに作られています。

大学病院が「親会社」、関連病院が「子会社」です。
大学病院のトップが教授で「社長」です。

大学病院と関連病院が1つのチームとして医療にあたります。

チームとして取り組んでいることは以下3つ。

医局としてやっていること
  • 臨床
  • 教育
  • 研究

特に教育・研究は大学病院で主に行われています。

医局に入った後の働き方

医局に入ると医局人事というもので働く場所が決まっていきます。

医局によって次に働く場所が指定されます。
(もちろんある程度、希望などヒアリングの上で)

医局人事によって色々な病院で経験を積み、キャリアを積んでいきます。

医局に入るメリット

医局に入る一番大きなメリットは「キャリアの安定」でしょう。

大学病院をトップとした関連病院で経験を確実に積んでキャリアを形成することが出来ます。

医局に入るメリットは以下の通り。

  • 色々な症例・経験を積める
  • 人間関係が広がる
  • 休職中も助けてもらいやすい
  • キャリアが順当に積める
  • 定年後も医局と関係を持てる

色々な症例・経験を積める

医局人事で色々な病院に行くことになるので、経験を積むことが出来ます。

  • A病院では急性期症例
  • B病院では腫瘍中心
  • C病院では特殊な症例

ABC全て回ることによって経験を積むことが出来ます。

人間関係が広がる

医局人事によって病院を異動するごとに新しい人脈が出来ます。

疾患のスペシャリストに会うことができ、人脈が広がることはキャリア形成にも大きく影響を与えます。

もちろん、中には嬉しくない人間関係が広がる可能性もありますが・・

休職中も助けてもらいやすい

何らかの原因で休職する場合、助けてもらいやすいです。

病気や出産・育休中の間、仕事を休む必要がありますよね。
その際サポートを受けやすい、職場に戻りやすい、ということがあります。

事実、家庭の都合で病院を退職しました。
医局は辞めておらず、復帰可能な状態です。

キャリアが順当に積める

医局人事で色々な病院に行ってキャリアを順当に積むことが出来ます。

  • 様々な症例を経験できる
  • 専門を持つことができ研鑽が積める
  • 留学(国内・海外)に行ける

特に専門性の高い分野は医局に入っている方が症例の経験や研鑽も積みやすいでしょう。

定年後も医局と関係を持てる

医師にも定年があります。

定年退職後、フリーだと勤務先に困ることがあります。
医局に属していると、退職後の勤務先を紹介してもらえることが多いです。

医局に入るデメリット

やはり、1つの団体に属することになるので医局に入るデメリットも。

医局に入るデメリットは以下の通り

  • 頻回の異動は必須
  • 給与・異動にかかる費用は考慮されない
  • キャリアの積み方は医局に決められる
  • 他の人のヘルプも多い
  • 人間関係

頻回の異動は必須

医局人事で移動をする必要があり、数年に1度は職場を異動することになります。

特に若い間は頻回の異動に。
早いときは半年で異動なんてことも。

その度に引っ越したり、職場の人と別れたり出会ったりする事になります。

子供ができると頻回の異動は非常にデメリットです。

子供が転校する必要が出たり、引っ越さない選択をすれば通勤時間が長くなります。
保育園を異動のたびに探すことも。

自分だけの異動なら簡単ですが・・

医局を選ぶ時に「子供ができた後の働き方について考えてくれているか」はポイントです。(後述)

給与・異動にかかる費用は考慮されない

医局は人事を行いますが、給与は勤めた病院から出ます。

病院からの給与がどれくらいかは異動には考慮されません。
医師の給料は初任給は一般的に比べて高いですが、その後伸びは悪いです。
異動によって10年目で給料がガクッと落ちた、という話もよくある話です。

異動のために引っ越し、保育園の転園などにかかる費用は自分持ちです。
家族4人で引っ越すとなると100万近くかかることも。

キャリアの積み方は医局に決められる

異動は医局人事で決められます。
自分のしたいことが異動先にあるとは限りません。

専門を高めたいと思っても、人手の足りない別の分野へ行く事になることも。

つまり、キャリアの積み方は医局というチームの中で決められます。

もちろんある程度希望は聞かれます!

人間関係

医局は1つのコミュニティです。
そして絶対的な上下が存在するコミュニティです。

その中には、古い伝統や前時代的な慣習があったりします。
全ての人とうまくやる必要は全くありませんが、コミュニティ全体の雰囲気と合う・合わないはあるでしょう。

小さいコミュニティのため、一度人間関係がこじれるとずっと続きます。

「あの人は・・」と
伝わってくるんですよね。

メリット・デメリットを考えていつ医局に入るか考える

医局にいつ入るかはメリット・デメリットを考えると良いと思います。

医局は入るのは簡単です。
抜ける、退局は非常に難しいからです。

医局によっては「早く入る方が得」ということも。
入ってからわかることですが・・実際の事例です。

  • 留学は入局順
  • 入局順に条件の良いバイト先を紹介

医局に入るタイミング

  • 学生時代
  • 研修医〜研修医終了後
  • 専門医取得後、中堅医師として
  • それ以降

学生時代に医局に入る

「早く入った方が得だよ」という話を聞いて学生時代に入るパターンもあります。

これはおすすめしません

学生時代はやはり、現実を知りません。
入局した以外の科に興味が出るかもしれません。

現実を知って、自分が何科に進むか決めてから医局には入局するべきです。

研修医制度がない時代には学生勧誘が盛んでした。
その名残で「学生の間に入っちゃいなよ!」という人もいます。

もちろん、絶対に進む科が決まっていて入局することも決めている人は早めに入局しても良いでしょう。

研修医〜研修医終了後

このタイミングで入局する人が最も多いと思われます。

自分が進む科、働いていく方向性が見えるからでしょう。

専門医を取得するのに医局に属していないと難しいこともあります。

専門医取得後、中堅医師として入局

科によっては入局せずに専門医を取得できます。
専門医を取得し、自分の働きたい場所が決まってから入局する人も。

自分の専門ややりたいことがはっきりしているので、入局時に自分の希望と医局の方針が合うかどうかがわかりやすいです。

前述の通り、早く医局に入る方が得なこともあり、その点は早くに入局した若手より後に回るという事になります。

それ以降に医局に入局

ヘッドハンティングかその方のご都合による途中入局のパターンが多いでしょう。

他の医局にいてヘッドハンティングされ、重要なポストで入局する。

家庭の都合で大きく引っ越しをした際、医局に再度入るなど。

この場合も、専門ややりたいことが決まっているので医局の方針に合うかわかりやすいでしょう。

医局に入る医師の現状

現在、どれくらいの医師が医局に入ろうと考えているのかを調べてみました。

研修医が終わった時点で医局に入る人は全体では79.3%.

8割の研修医が医局に入るということです。

研修先で入局するかは大きく変わる

大学病院で勤務している人は97.2%、大学病院以外勤務の人は54.6%が入局予定です。

医局に入る割合
平成31年臨床研修修了者アンケート調査結果概要より引用

大学で研修した場合は医局に入らないことは難しいでしょう。

研修が終わると同じ病院で働き続けることも多いからです。
大学でそのまま勤務を続ける場合、入局以外の方法は非常に少ないです。

市中病院で研修をした場合、入局せずそのまま働き続ける人も。

参考:厚生労働省の医師臨床研修制度のホームページ平成31年臨床研修修了者アンケート調査結果概要

専門医取得に入局の必要が

専門医取得に入局の必要がある科もあります。

専門医受講のために必要な案件として

  • 指定された病院で何年以上の勤務
  • 特殊な症例の経験の必要

もちろん科にもよりますが、医局に入らないと要件を満たすのは難しい科も。

脳外科は難しいかも。

医局を選ぶポイント

では、いざ医局に入るとなった時、どう考えて選べばいいか。

自分が進みたい科、働きたい場所を考えた上でチェックしてみましょう。

  • 医局として何に力を入れているか
  • 関連病院がどこにどれくらいあるか
  • 出産、子育てへの対応
  • 若手の働き方・教育
  • 大学院生の状況
  • 各専門分野の状況
  • 金銭面

医局説明会というものが年何回か開かれているので参加してみましょう。

できれば、入局している少し上の先輩の話を聞くことができればいいですね。

医局として何に力を入れているか

医局説明会で説明されます。

  • 臨床・研究・教育
  • 各専門分野の状況

医局員になると臨床・研究・教育全てに関わる事になります。
初期の時は臨床がメインですが、数年経つと研究・教育にも関わります。

各専門分野の状況も知っておくことが重要です。
ある分野(疾患)で全国的に有名な場合、その分野に興味がなければ入局すると辛いでしょう。
自分の興味のある専門分野が医局の中でどの立ち位置かを確認できるといいですね。

関連病院がどこにどれくらいあるか

関連病院は自分が働く事になる病院です。

特に若手の間は異動が多いです。

他県はもちろん、関西の医局で異動で北海道に行ったり。
引っ越し代は自分もち。
数年で引っ越す事になります。

引っ越しが嫌で関連病院が少ない医局を選んだ人も。

若手の働き方・教育

若手の働き方について、現状を聞くことはできるでしょう。
どの病院に若手がどれくらいいて、何年くらいで異動になるか。
この程度なら医局説明会でも聞いてOKでしょう。

直面する現実は実際に働いている若手医師に直接聞くのが一番です。

他にも気になる点

  • 出産、子育てへの対応
  • 大学院生の状況

女性の多い科では、出産・子育てへの対応について話してくれると思います。
しかし女性が少ない科ではほとんど話に出ません。

人生が大きく決まるかもしれない決定には疑問なく入局したいもの。
遠慮せずに質問しましょう。

金銭面

医局に入ると実は入っていない時よりお金が必要になります。

  • 医局費
  • 学会参加費
  • 異動費

正直、入局前にこの事実は教えてもらえません。

ただ、これについてはどの医局に入っても同じだと思います。

医局に入らないメリットは

医局に入らず、働いていく方法ももちろんあります。

医師は基本的には売り手市場。
医師でどこにも働く場所がない、ということはほとんどありません。

医局に入らないメリットも少なからずあります。

  • 自分の希望のみで職場が決められる
  • 辞める時にもしがらみがない
  • 臨床医以外の選択肢も取りやすい

医局に入っていないと自分で就職する必要があります。
その時には医師の転職サイトを利用する必要があります。

医師免許を持っていても必ず臨床医にならなければいけないわけではありません。

フリーの医師は臨床医以外にもなる選択肢を取りやすいですね。

医局に入るメリット・デメリットを考えて働き方を考えよう

医局に入るには疑問がたくさんありますよね。

メリット・デメリットを考えて医局に入るかどうかを考えましょう。

デメリット
メリット
  • 頻回の異動は必須
  • 給与・異動に費用がかかる
  • 他の人をヘルプする
  • キャリアの積み方は医局次第
  • 人間関係
  • 症例・経験を積める
  • 人間関係が広がる
  • 休職中もヘルプがある
  • キャリアが積める
  • 定年後の就職先がある
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